午後8時の南中:7月13日 1等星:なし
2001.7.13 作成
7月7日午後8時の南から見上げた頭上の空のようすです。
かんむり座は初夏の星座です。この時期の夜、頭の上に小さく見えています。
近くにうしかい座の1等星アルクトゥールスがあってよい目印になります。
明るい星がないので、都会では見るのが難しいです。
空の暗いところに行ったら、ぜひ探してみてください。
かんむり座は暗い星ばかりですが、きれいな半円形を描いていて美しいです。
アルファベットのCの字のようにも見えます。
クレタのミノス王の后パシパエは胴体が人間で頭が牡牛の怪物ミノタウロスを産んでしまいました。これは、約束を破ったミノス王に対する海神ポセイドンの仕打ちでした。
「なんと恐ろしい子を産んでしまったのでしょう。でも、これも私の息子、殺すわけにはいかないわ。大工ダイダロスに住まわせる家を造らせましょう。」
建築術に長けた名工ダイダロスは1度入った者が2度と出ることができない迷宮ラビュリントスをミノタウロスの館として造りました。ミノタウロスはその迷宮に閉じ込められました。
しかし、怪獣ミノタウロスには9年毎に最も優れた少年7人、少女7人を生け贄として捧げなくてはなりませんでした。彼らは、アテナイから船でクレタ島に運ばれました。
3度目の生け贄の船がクレタ島に着き、少年少女14人はミノス王の前に連れ出されてきました。その少年の中には、自ら志願して生け贄となった、アテナイの王子テセウスがいました。13人の少年少女は下を向いてふるえていましたが、ひとり、テセウスはミノス王に向かって言いました。
「お前が邪知暴虐の王、ミノス王か。すでに28人のアテナイの若者が怪物の餌にされた。私は、怪物ミノタウロスを退治する。もちろん、おまえのことも許さない。」
「何を言う。若造が」
テセウスはすぐに、牢に入れられてしまいました。他の少年少女も明日、迷宮ラビュリントスに連れていかれるまで、別の場所に閉じこめられました。
「なんて素敵なお方」
父の横でその様子を見ていた王女アリアドネは、そんなテセウスに激しく心牽かれました。アリアドネはその夜、テセウスの牢に糸をたくさん巻き付けた糸巻きと剣とをこっそりもって行きました。
「迷宮ラビュリントスは、造った本人のダイダロスさえ入ったら出てこられない迷宮です。どうか、この糸巻きをお持ち下さい。この糸を迷宮の入り口に結びつけて迷宮に入れば、糸を辿ってもどってこられます」
「ありがとう。でも、こんな事をしたら王が怒ってあなたはこの国にいられなくなるのでは」
「そんなことはどうでもいいのです。どうか、ご無事で」
翌日、テセウスは、苦戦しながらも力が強く気性が荒い怪獣ミノタウロスを退治しました。そして、少年少女とともにクレタ島を逃げ出しました。もちろん、アリアドネも一緒でした。
ところが、その晩テセウスの夢にアテナイの女神があらわれました。 「テセウスよ。アリアドネを置いてすぐに船を出しなさい。アリアドネはアテナイに災いをもたらします」 テセウスは、お告げの通りにしました。翌朝、目が覚めて船もテセウスもいないことに気付いたアリアドネはどうしてよいのかわからなくなり、そのまま海に身を投げてしまいました。 そのアリアドネを助け、悲しみに泣き崩れる彼女をやさしく慰めてくれたのが酒神ディオニソスでした。 やがて、アリアドネは酒神ディオニソスの后になりました。そうして、2人は仲良く暮らしましたが、神ではないアリアドネにはやがて死が訪れました。 | |
「アリアドネ。君のことはいつまでもわすれないよ」 ディオニソスはアリアドネの残した冠を空に投げ上げました。そのとき、冠の七つの宝石が空に飛び散り、冠座になったということです。 |
かんむり座には、M天体はひとつもありません。
7つの星のうち、主星のα星は2.2等星です。
かんむり座Rという有名な変光星もあります。
α星
かんむり座のα星は2.2等星で、「ゲンマ」または「アルフェッカ」と呼ばれます。
「ゲンマ」は王冠の真珠という意味だそうです。
古代アラビアでは、かんむり座を欠けた皿のように見立てていたので、「アルフェッカ」は欠けた皿という意味だそうです。
たしかにきれいな楕円形にならんでいるのに上が閉じていないんですよね。
かんむり座の輪の中にある星で、変光星です。
通常は6等星ですが、数年に1度、すごく暗くなってしまいます。
いつ暗くなるのか予想もできないほどで、このタイプの変光星をかんむり座R型変光星といいます。