午後8時の南中:9月25日 1等星:1個=デネブ
2000.10.31 作成
はくちょう座は北十字星ともいい、十字型にきらいにならんだ星の列がみごとです。
夏から秋の夜、空高く見上げると、夏の大三角形が見え、その一角にはくちょう座の「デネブ」が位置しています。
夏の大三角のうち、もっとも暗い星がデネブです。デネブとは「しっぽ」の意味で、その名の通り白鳥の尾に輝いています。
はくちょう座は天の川の中にあるので、空の暗いところでは天の川の中に全体がつかっているのがわかるでしょう。
写真では、全体が天の川にうもれているのがよくわかります。天の川にそって南へ飛んでいるようにも見えますね。
このあたりには星雲や星団もたくさんあります。空の暗いところで双眼鏡で見ると、ものすごい数の星が見えてびっくりします。
デネブは。
くちばしの位置には3等星の「アルビレオ」があります。 データ:Nikon35mmF2→2.8 露出15分
フジ プロビア400
長野県王滝村にて
「思ったよりつめたくないわ」
レダは泉に素足をしずめてみた。緑の木々の葉からこぼれる日差しが水面に反射している。
それを捕まえるように、両手ですくった水に唇をつけてみる。
それから、頬に手を当てて森の静けさに耳を澄ませた。
「とっても静かで、気持ちいいわ」
スパルタ王テュンダレオスの妻レダは誰も見ていないはずの森の泉にいた。
しかし、色好みの大神ゼウスは天空から見ていた。さっそく、ゼウスは白鳥に姿を変え、降りていった。
「誰? なんだ、白鳥か。びっくりさせないで。こっちにおいで。一緒に水浴びしましょう」
「立派な翼ね。それに、こうしてあなたを抱えているとなんだかおへそから胸の方に
あたたかい固まりが広がっていくような心地よさがあるわ」
「コ、コ、コー(強く抱きしめてくれるなんてうれしいよ)」
「あれ、あなた何か言った? 私、今、言葉を感じたわ」
「不思議ね。聞こえたんじゃなくて感じたわ。あなたはうれしいのね」
白鳥の姿をしたゼウスは身体をさらに寄せていった。
そうして、レダは神と感応して身籠もった。
やがて、森の奥でレダが産み落としたヒヤシンス色の2つの卵からは、それぞれ双子が生まれた。
ひとつの卵からは、ボクシングの名手カストルと馬術の達人ポリュデウケス。
もうひとつの卵からは、トロイア戦争の原因となる絶世の美女ヘレネーと、
夫アガメムノン王を殺し、我が子に仇を討たれるミケーネ王妃クリュタイムネストラが生まれのであった。
Franciabigoの絵のなかには、二組の双子が描かれている。
右のふたりは仲のよいカストルとポリュデウケス、左のふたりは、背を向けあっている仲の悪いヘレネーとクリュタイ
ムネストラだ。
この絵はLeonardoの絵を下敷きにしている。
Leonardoの絵のオリジナルは現存しないが、模写のレダの表情はLeonardoのものといえるようだ。
Leonardoは神話の時間性を描いている。
前の双子や奥に見える卵はゼウスとの交感の結果であり、時間的に後のことであるが、それを一枚の絵のなかに配置している。
また、レダが白鳥を見ていないのは、レダとゼウスの関係を描くのが主ではなく、神話を描こうとし
ているからだろう。
レダが、完全にゼウスに応じているのではなく、とまどっている様子がいい。
それに対して、Michelangeloの絵は2人の交感、神と人の交わりをテーマにしている。
レダの脚の間に身体を押し込んでいる白鳥ゼウスはなんともエッチだ。
Moreauの絵もテーマはMichelangeloと同じであろう。だから、ここには卵も双子もいない。
神話ではなく、ゼウスとレダ、神と人間、男と女が描かれている。
はくちょう座には、M29、M39の2つのM天体があります。
また、美しい連星アルビレオもあります。
はくちょう座のくちばしに輝く3等星です。*光年の距離にあります。
望遠鏡で見ると、オレンジに輝く主星のそばにちょっと暗めの伴星がうす緑に見えます。
実際には緑の星ではなく白いのですが、オレンジの補色の緑に見えているようです。
はくちょうの十字型の中心にあるγ星に双眼鏡を向けると、すぐそばに星が数個集まっているのが見えます。
これがM29です。望遠鏡で見ると6つの星がさいころの6のような形に並んでいます。
あまりにも小さいのではじめは星団だと思わないで見逃すかもしれません。
白鳥の尾のデネブの先に双眼鏡を向けると、ごちゃごちゃ集まった星々がはいってきます。
これがM39です。望遠鏡では大きすぎてかえってまばらになってしまいます。