午後8時の南中:1月24日 1等星:1個=アルデバラン
1999.2.21 作成
おうし座は星占いでおなじみの黄道12星座のひとつですから、月や惑星もときどき通ります。
2月ごろの夜8時ごろ、南の空高くを見上げると、オリオン座が見えたらその右上を探すと赤い1等星が見えます。
これがおうし座のアルデバランです。その右上にはごちゃごちゃした「すばる」が見えます。そのへんがおうし座です。秋の夕方には東の空に低く見え、春の夕方には西の空に低く見えます。
空の暗いところへ行くと、つのをふりかざした牡牛の姿に見えてきます。
また、「おうしの顔の部分のV字型の星の集団である「ヒヤデス星団」も肉眼で見えます。
写真では、アルデバランをふくむ「ヒヤデス星団」、右の方に集まった「すばる」がよくわかります。
アルデバランは太陽の40倍くらいの大きさをもつ赤色巨星で、60光年の距離にあります。
すばるに続いてのぼってくるので、名前は「あとにつづくもの」という意味だそうです。
この星はおうしの右目に相当します。右上方にはおうしの肩の位置にすばるがあります。 データ:Nikon35mmF2→2.8 露出15分
コダック EPL400
千葉県野栄町にて
春のある日フェニキアのアゲルノ王の娘エウロぺは、侍女達と花咲く野原で戯れていた。天上からその愛らしい姿を見つけたゼウスは、白い牡牛に姿を変え、下界に降りていった。
牛に気づいたエウロペたちは驚いたが、よく見るとその純白な牛はとてもおとなしく、賢そうな目をしていた。エウロペは野花で作った首飾りをそっと右の角に掛けてみた。
グルグルグル。牛はうれしそうに首を伸ばした。エウロペも嬉しくなりそっと撫でてみた。かがみこんで草をはんでいる白い絨毯のような牛の背中をなでているとエウロペは牛に乗ってみたくなった。
そっとまたがると、エウロペを乗せた牡牛も満足そうにゆっくりと海岸に歩いていった。しかし、そこからは速かった。泣き叫ぶ王女を乗せて牡牛は海の中を猛然と泳いでいく。
しかし、どうも様子が変だ。海のニンフやイルカや鳥達が牛に付き従っている。エウロペは牛に話しかけた。
「あなたは何者?」 「恐れることはない。私はいつもお前を見ていた。お前を愛するがゆえにこうせずにはいられなかったのだ。」
クレタ島に着くと、二人は結ばれた。ゼウスはエウロペを深く愛し、新しい土地にエウロペという名を付けたり、出会いの記念として牡牛を星座として空に描いたりした。ヨーロッパは、エウロペに由来するという。
プレヤデスとは、きらきら輝く愛らしい妖精の娘達である。天と地の間の巨大な柱をささえるアトラスとプレイオネの間に生まれた、7人姉妹の美しさをあの女好きのオリオンが見逃すはずもない。
オリオンは逞しく美しい男だったが、この姉妹はアルテミスの侍女であったせいかどうか、相手にしなかった。しかし、ストーカー・オリオンは5年も7年もボイオニアの森中、姉妹達を追いかけ回した。
とうとう姉妹達は鳩になって大空に逃げ、ゼウスがそれを星座に移したという。オリオンは、冬の大空で牡牛と闘う勇士でもあり、プレヤデスの姉妹を追いかける○○でもある。
おうし座には、「すばる」(プレヤデス星団)M45、「かに星雲」M1、の2つのM天体があります。
また、アルデバランを含むV字型のヒヤデス星団もあります。
すばる(M45:プレヤデス星団)は、410光年の距離にある散開星団です。
肉眼でも5,6個の星がごちゃごちゃ集まって見えます。実際は120個の星からできていて、双眼鏡でも充分楽しめます。
年齢は7800万年と推定され、星の中では生まれたての赤ちゃんです。
「すばる」は漢字で昴と書き、枕草子にも「星はすばる・・・」というくだりがあるれっきとした日本語です。
長時間露出の写真や冷却CCDの画像では、特にメローペ付近に星雲がうつります。
このガスの中からすばるの星は生まれてきました。
M1は、愛称を「かに星雲」という超新星の残骸です。1054年に星が突然大爆発して(これを超新星爆発という)明るく輝きました。
このときは23日間、昼間でも青空の中に見えたといいます。その記録は藤原定家の日記「明月記」に残されています。
この星雲は6500光年の距離にあり、現在でも秒速1300kmで拡大しつつあります。中心には高密度のパルサーができています。