おおぐま・こぐま座 Ursa Major/Ursa Minor(略号:UMa/UMi)


午後8時の南中:5月3日/7月13日 1等星:なし


2001.4.23 作成

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見え方

星図

おおぐま座・こぐま座は北の空でほぼ一年中見えます。特にこぐま座は「北極星」を含んでいますので、北の空のほぼ中央で回転していて地平線下に沈むことがありません。

おおぐま座がよく見えるのは春の日没後で、北の空高くを見上げると、明るい7つの星である「北斗七星」がよく目立っています。

北斗七星はおおぐま座の熊のしっぽにあたります。北極星はこぐま座のしっぽの先です。

空の暗いところへ行くと、おおぐまの頭や足もよくわかりますが、こぐまの方はどうみても足はわかりません。

おそらくこぐま座の星の並び方が北斗七星と似ているのでペアにされたのでしょうね。


写真

写真

おおぐま座は大きい星座なので、こぐま座と両方を写真におさめるのは大変です。

中央に北斗七星、最下部に北極星が写っています。

北斗七星の中央の星がやや暗いのがわかるでしょうか。



データ:20mmF2.8開放 露出4分
     フジ プロビア400F
     静岡県富士宮市にて


神話

熊になったカリスト

天界の王ゼウスが城壁から眼下のアルカディアの大地に目を凝らしている。

「おお、今日もあの娘(むすめ)がいる。自分の美しさにまるで気付いていない娘カリスト。おまえの狩衣(かりぎぬ)を留めている胸のブローチを外して髪を束ねる白いリボンをといてみたいものだ。」

妖精(ニンフ)カリストは、弓を木にかけて草原に腰を下ろし、矢筒を肩からすべり落とした。

「あー疲れた。今日の獲物はウサギ一匹だわ。あ、そう、そう、弓の弦も緩めておかなくっちゃ。それにしても、アルテミス様はどこへ行ったのかしら。もう、お昼もすぎたのに。はぁーー眠い」

カリストをくどいているアルテミスに化けたゼウス
ゼウスの象徴であるワシが背後に描かれている
ルーベンス「ジュピターとカリスト」1613年
Rubens

疲れて微睡(まどろ)んでいるカリストのもとに処女神アルテミスに姿を変えたゼウスはそっと近づき、声をかけた。

「カリスト、こんな所でお昼寝かい。今日はどこの峰で狩りをしていたの?」

「あ、アルテミス様。私は、今日は、マイナロスの山の……」

アルテミスに姿を変えたゼウスはカリストの言葉を唇で塞いだ。

●☆▲△◆♂★♀※○♪


中央右のアルテミスが左下二人目のカリストの着衣をはがすように命じているところ
カリストのおなかが大きくなっている
ティツィアーノ「ディアナとカリスト」1559年
Tiziano

数ヶ月後、カリストはいつものように他のニンフたちとアルテミスの狩りのお供をしていた。

「今日も暑かったわね。さあ、誰も見てないわ。あの、なめらかな砂の底を流れる小川で水浴びしましょう」

「アルテミス様。私、水浴びしたくないのです」

「どうしたのカリスト。早く槍を置いて裸になりなさい」

アルテミスがカリストの狩衣を剥ぎ取ると、カリストはあわてて腹部に手をあてた。が、罪はどうにも隠しようがなかった。

「ふしだらな娘。すぐに私のもとから去りなさい。この清浄な泉が穢れます。熊になって森をさまようがいい」

母グマ

「あ、体中に黒い毛が生えてくるわ。長い鈎爪も。口も裂けてきたわ。」

カリストはみるみるうちに熊になった。

「ウオーーー。ウオーーー」

悲しみの言葉も熊のうなり声にしかならない。そして、カリストは森の奥へ消えていった。

何も知らされず15歳の立派な狩人になったカリストの子アルカスは、エリュマントスの森で雌熊にであった。

「ああ、熊だ」

「(あっ、あれは我が子アルカス)ウオーー(私よ、お母さんよ)」

「なんだ、あいつ俺のことを知っているみたいにじっと見ているぞ」

「ウオーー(私よ、わからないの?)」

「おお、近づくな、よし、こうしてやる」

子グマ

アルカスは雌熊の心臓めがけて槍を構えた。

その時、大神ゼウスは2人に気づき、旋(つむじ)風を起こして2人を天空にさらい、そのまま星座として夜空に据えた。

それが大熊座と小熊座である。


見どころ

見どころ

おおぐま座には有名な北斗七星があり、こぐま座には北極星があります。

北斗七星のひとつであるミザール・アルコルは2重星として有名です。

M97ふくろう星雲という惑星状星雲もあります。

おおぐま座には銀河系の外の銀河がたくさん見えます。Mナンバーがついたものだけでも5個あります。

北斗七星

北斗七星

北斗七星はひしゃく(神社の手を洗うところでよく見る)の形に7つの星が並んでいます。

7つの星の中央のものだけが3等星であとは2等星でできています。

α星(ドゥーベ)とβ星を結んで5倍半のばすと北極星を見つけることができます。

M81・82

M81/82

おおぐまの頭の後ろあたりに2つ並んでいて、両者はかつて衝突したらしいです。

右のM81は1200万光年にある美しい渦巻き型銀河で、左のM82は1700万光年にある爆発したように見える不規則型銀河です。

M81には1993年春に超新星が現れ、望遠鏡でよく見えました。

M82の中心部では、活発な星生成(スターバースト)や超新星爆発が起きていて、高温の電離した水素ガスが銀河の外側にまで噴出しています。

M97・108

M97/108

北斗七星のひしゃくの底にあります。左上のM108は4600万光年にある棒渦巻き型銀河で、銀河系の外にあります。

右下のM97は2万3千光年にある惑星状星雲で、銀河系の中にあります。これらは全然違う距離にあるものが、たまたま同じ方向に見えているだけなのです。

M97はふくろう星雲とも呼ばれ、この写真ではわからないですが、丸い形のなかに濃淡が見え、ふくろうの目のように見えます。

ミザール・アルコル

ミザール

ミザールは北斗七星のひしゃくの柄の先から2番目の星です。肉眼でも目のいい人ならそばにアルコルがくっついてるのがわかります。

昔、アラビアでは兵隊の目の検査に使われたという話です。これが見えればいい兵隊になれるということでしょう。

ミザールとアルコルは近くに見えますが、0.3光年も離れているそうです。

ミザール・アルコル


望遠鏡でミザールを見ると、これがさらに2つの星(ミザールA、ミザールB)でできていることがわかります。

驚くことに、スペクトルを調べるとミザールA・Bとアルコルの3つはすべて接近した2つの星であることがわかるそうです。

つまりこれらは6連星なんですね。


星図はアストロアーツ製「ステラナビゲータ」で作成しました。古星図は「ボーデの星図」を使用しています。

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