岩宿遺跡のページ


1998.8.11 作成

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去る5月3/4日に北軽井沢方面に旅行してきました。
以下に3日に行った岩宿遺跡のようすをレポートします。

岩宿遺跡

ゴールデンウィークということで高速が混んでいたため、東北道の佐野藤岡から一般道で行きました。

天気は雨でしたが、途中、群馬県の岩宿を通ったので、有名な岩宿遺跡によることにしました。

発見

昭和21年、相沢青年は、関東ローム層中から石器らしいものを発見しました。当時は日本には旧石器時代は人類がいなかったとされ、またローム層(火山灰層)中には遺跡などはあるはずがないとされていたので、これは大変な発見でした。これにより日本の人類の歴史はいっきに3万年前までさかのぼりました。

写真は最初の発見場所の低い崖で、道路のすぐ脇にあります。現在は石垣でおおわれています。


マンモスの骨で作った住居

マンモスの家

横の公園にいくつか石器時代の住居が復元されてありました。写真は2万年前のもので、ウクライナ共和国のメジリチ遺跡のものです。

直径約6m(復元は75%縮小したそうです)、入り口に牙が2本あり、385個もの骨が使用されています。屋根には動物の皮などを使用したと思われます。


笠懸野 岩宿文化資料館

最初の発見場所の崖からすぐのところに資料館があります。

かなりの展示品があり、充実しています。受付で腕章をもらえば撮影も可能です。以下はこの館の展示内容です。


マンモス

マンモス

数万年前の氷河時代のころ生きていた象の一種です。当時は氷河が大量にあったので海水が減って、北海道と樺太シベリアは陸続きでした。

そのため、マンモスが日本にも渡ってきたと思われます。日本人の祖先もそれを追って大陸から来たのかもしれません。マンモスは寒冷な土地でも棲めるように体に長い毛が生えています。


頭蓋骨 臼歯

約7万年前のマンモスの上顎第3臼歯で、年齢は摩滅度から30〜40歳だそうです。発見地は北ヤクーチャの北氷洋沿岸、ドミトリーラブテフ海峡です。


石器の材料

凡例 北日本
西日本 東日本

石器をつくる岩石には、かたくて鋭くわれるようなものが適しています。黒曜石が有名ですが、ほかにもサヌカイトやチャート、流紋岩、珪質頁岩などが使われます。やはり遺跡から近いところにある岩石を使用するようです。

黒曜石は珍しいのであまり近くにはありません。岩宿で出土する黒曜石の石器には、長野県の和田峠のものが使われています。図のように、岩宿はチャート、黒曜石、頁岩の文化圏の重なり合ったところに位置しており、さまざまな石器が出土します。時代も3万年〜1万年とかなり長いのが特徴です。


石の音 断面

讃岐地方(香川県)で産出するサヌカイトという石は俗に「カンカン石」ともいい、たたくと高い音色のいい音がでます。これは石の中に結晶が少なく、ガラス質だからです。

石器としてもよく用いられました。岩石名は輝石安山岩です。

石器をつくる

割れ円錐

石器をつくるときに割って加工しますが、そのときの割れ方を研究するために、透明度の高いレンズ用のガラスで「打痕」をつくってみたところです。

打点の直下にできた円錐形の「割れ円錐」を見ることができます。石器時代の人々はこれを経験的に知っていて、自在に石器の形をつくっていったのでしょう。


製作過程1 製作過程2 製作過程3 製作過程4 製作過程5

  上の写真は黒曜石から石器(石槍の先)をつくる過程をしめしたものです。割る過程でできた細かい破片が見られますが、これらの細片も石器として利用します。


やじり 槍 おの

上の写真は石器の利用方法をしめしています。槍の穂先として利用したり、角に細かい破片を植え付けて利用したり、斧として利用したりしています。


番外:石器を自作してみる

準備 やじり 完成

石器のキットが売っていたので買ってきて作ってみました。黒曜石は危ないので手袋をして扱います。説明書もはいっています。石を用意して黒曜石をとがらせてやじりにします。矢羽は紙で作り、弓をつくって完成です。


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