2001.11.21 作成
*朝6時半、カーテンを開けて「ほら、きれいでしょ!」という看護婦 I さんの声で目が覚めた。
たしかに昇ったばかりの太陽とそれに照らされた雲がきれいだった。
「もう少し前に見たらもっときれいだったろうなぁ・・・」 と言ったら、
「えー? あたしは寝てる人を起こしてまで見せるようなことはしないよ」 ですって。 あれぇ? 僕は寝てたんだけどなぁ。
*午前中2時間ストレッチをした。
両かかとがおしりにつくようになった。
が、向きを変えるために横向きになると、股間に激痛がはしる。
*今日はマラソン大会だった。生徒のOくんがひとりでやってきた。いろいろ話ができてよかった。
箱根のおもちゃ博物館にいったとかで、おみやげに鉄腕アトムのペンと定規をもらった。
僕は幼稚園から小学校にかけてアトムで育ったのでうれしかった。たぶん僕の理科好きや星好きはアトムの影響だと思う。
*夜、看護婦のM本さんがうれしい知らせをもってきた。明日から車椅子に一人で乗ってよいとのこと。
これで看護婦さんを呼ばなくても自由に車椅子に乗ることができる。
今までは、土日は手が足りないから、できるだけ遠慮するようにいわれていたのだが、その心配もなくなってよかった。
11/8(木) 立って車椅子
*顔や体をふくために毎朝、毎夕、タオルが配られる。蒸し器に入っているので熱くて気持ちいい。
しかし、このところ汚れていたり体毛がついていたりする。今日のはちょっとひどかったので、手紙をつけて返した。
タオルは業者が洗っているそうで、婦長さんから正式に申し入れてくれたそうだ。よくなるといいが・・・。
*担当看護婦のAさんが来て、今日からは立って車椅子に移動してよいとのこと。一人で乗っていいとはそういう意味だったんだ。
早速練習してみる。まず、ベッドサイドに車椅子を置く。今までは自分の右に平行に置いて手で腰を浮かして乗り移っていた。
Aさんによれば、やや車椅子を斜めに置いて、立ってからターンしてすわるとよいそうだ。
やってみると、うまくできた。Aさん曰く、
「では練習してくださいね。明日テストをします。カンニングはだめですよ。」
そのあと、トイレでも一人で立って乗り移れるように練習することになった。
Aさんとトイレの前まで行ったが、Aさんはいきなりほかの部屋へ向かい、「じゃあ行ってきてくださいね」ですと。
いきなり応用問題だ。一人でなんとかするしかない。ベッドと同じようにトイレでも斜め前に車椅子をおいてみた。
立ってターンしてすわる。なんとかできた。壁にそってたてに手すりがあるのでベッドよりは簡単だった。
あとでAさんに、「教わってないのにいきなり応用問題はきついですー」と生徒みたいな文句を言ってみた。
*保険会社から人身の担当者が来てくれた。物損の方は担当者が入院しているとのこと。そのために遅くなってるのだそうだ。
実は事故後1ヶ月経過しても処理されなかったので、僕も会社に電話したのだが、事故の相手は怒って僕に損害賠償請求をしてきた。
そこで、どうなってるのかと電話したので、今日病院にたずねてきてくれたわけだ。
聞いてみると、10日ほど前に相手方とは示談が成立したという。たしかに相手は電話で賠償請求はとりけしてきたが・・・。
入院しているとはいえ、当事者である僕には関係なく示談が成立しており、なおかつ10日の間知らされなかったことに驚いた。
追突だから100%僕が悪いという判断なのかもしれないが、警察もまったく捜査せず、僕の言い分は聞いてもらえないのだろうか。
納得できないのは、渋滞していたというが、車を飛び越えて25mころがった僕が前の車にあたっていない点だ。
右の車線にも車はいなかったと思う。しかし、渋滞していなかったことを証明することが困難なのであきらめるしかないのだろう。
*今日は午前中に保険会社の方と会ったので、ストレッチは休んでリハビリのみとなった。
やはり伸ばしていないために少し体がかたかった。
11/9(金) 安静宣告
*朝、職場へ電話。H先生にリハビリも順調に行っているので、退院が早まりそうであることを伝えた。
*2週間ぶりにX線検査をした。もうなれたもので、一人で検査室へ行って撮影してくる。
最初はベッドで行って、何人かでかかえてもらって撮影用ベッドに移ったものだが、そのうち車椅子から自分で移れるようになった。
今では車椅子で行き、足をついたままですっと移動できるようになった。だんだんよくなっていくのが実感できる。
*午前中またストレッチ。
向きを変えるために横向きになると、股間に激痛がはしる。
そのためにうつぶせになれず、これはできなかった。
やはり痛くてできない
*看護婦Aさんによる車椅子のテストがあった。まずベッドから車椅子。立ち上がらずに中腰ですっとスムーズに移る。
立ち上がると時間はかかるし腰もつらいのでこの方がずっといい。ということでまず合格。
次はトイレだ。こちらも向かいに車椅子をつけて、手すりにつかまって中腰になってスムーズに移れた。
手すりがある分、ベッドとの間よりは楽に移動できる。練習しないでぶっつけ本番だったがみごとに合格。
Aさんの太鼓判をいただき、めでたく車椅子の乗降は一人でできることになった。
*夕方、うとうとしていたら、主治医の I 先生がやってきた。
「石川さん、どうですか?」「ええ、やはりもものつけねとか股の間が痛いです」
「やっぱり・・・実は今朝撮ったフィルムを見たら固定した部分がちょっと開いてるんですよね」
「え!? それってネジがはずれてるってことですか?」
「はずれてはいないんだけど、はずれかかってプレートが変形したのかもしれないですね」
「原因は立ち上がったことですかね?」「そうかもしれません。ゆっくりゆっくり荷重かけていったんですけどねぇ・・・」
「どうなっちゃうんですか?」「とりあえず1〜2週間安静にしましょう。リハビリもストレッチもひかえてください」
「なおるんですか?」「安静にしていればなおるかもしれません。このまま開いてしまったりすると再手術になりますね」
「車椅子の乗り方は?」「それは足をついて乗ってもいいですよ」
ということで安静にするということになってしまった。しばらく放心状態になった。
いったいこれまでの努力は何だったのだろう。特にこの2週間はよくなるために一生懸命だったのに・・・。
なんだか3週間ぐらい後退してしまったようだ。特に無理をしたつもりはないのだが・・・。
立つ訓練の最初の日から立ち上がれてしまったのがいけなかったのかもしれない。