研修下見のページ


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去る12月15/16日に来年の夏の研修のための下見をしてきました。
以下にそのときのようすをレポートします。

瑞浪化石博物館


瑞浪

瑞浪(みずなみ)化石博物館は、中央高速道の瑞浪ICを降りてすぐのところにあります。
デスモスチルス

新生代の新第三紀の示準化石であるデスモスチルスは、この瑞浪ではじめて全骨格が見つかりました。これは哺乳動物で、内湾の浅瀬のようなところで暮らしていたと考えられています。
臼歯

のりまきを束ねたような臼歯(奥歯)が特徴的です。全骨格が発見される前はこの臼歯ばかりが見つかっていて全体像がよくわかっておらず、「謎の哺乳類」と呼ばれていました。
ビカリア

新第三紀のもうひとつの示準化石としてビカリアがあります。これは巻き貝の一種です。上の4つのものは、内側に鉱物が充填された後で外側の殻が失われたもので、「月のおさがり」と呼ばれています。おさがりというのは要するに「う*こ」のことです。美しいのか汚いのかわかりませんね。
コハク

コハクは松ヤニの化石で、よく川原に落ちています。ごくまれにこのような昆虫がとじこめられた「虫入りコハク」が見つかります。
天井の化石

博物館の横には、中国人捕虜たちが掘らされた地下壕があります。その洞穴の天井にはみごとな化石が見られます。ほとんどは二枚貝です。化石は厚さ10cm程度の地層にのみふくまれているようで、天井にはびっしりとありましたが、壁には見あたりませんでした。
へそ山

化石博物館の前に、「へそ山」があります。山の右側の切り通しでは、化石をふくむ地層が見られます。上の方に、丸いものが水平方向につらなっているのが見えますが、これらが化石をふくむノジュールです。下の方に白い地層が2枚見えますが、これらは火山灰の地層です。

瑞浪の川原


川原

化石博物館から車で5分のところに、化石見学地があります。ここは瑞浪で唯一、化石の採集が許されている場所です。博物館であらかじめ許可をとる必要があります。川原の広い範囲で化石が採集できます。
化石

ここでは、新生代の化石が採集できます。産出するのは主として貝化石です。他には、植物の葉や幹なども見つかりました。うまくいけばビカリアを見つけることもできるかもしれません。


藤橋星の家


ドーム左 ドーム右

岐阜市から北西に車で約1時間半のところに藤橋村の「ふじはし星の家」があります。ちなみにこの写真は立体視できます。挑戦してみてください。

60cm望遠鏡

ドームには口径60cmの反射望遠鏡が設置されています。予約しておけば、一人300円でインストラクタの方が案内してくれます。今回は故障中ということでだめでしたが、以前行ったときはオリオン大星雲やM82などに色がついて見えて感動しました。
厨房 バーベキュー

宿泊施設も完備していて、80人まで泊まれます。食事は自炊ですが、しっかりした厨房もあり、夏は野外でバーベキューも楽しめます。

藤橋城

すぐ近くにある藤橋城では、プラネタリウムもやっています。今回はここにはよれませんでした。


根尾谷断層


濃尾地震

1891年(明治24年)10月28日午前6時37分11秒に根尾村を震央として濃尾地震(M8.0)が起き、地震断層が地表に現れました。この写真は根尾谷断層ができた当時に南側から写したものです。断層崖に「Fault(断層)」の文字が見えます。ここでは手前の岩盤に対して向こう側が上に6m、左に3mずれました。
震度分布 大正時代

ゆれは東北から九州までの広い範囲で感じられ、震央付近での震度は6でした(左写真のオレンジの部分)。根尾村では1319家屋のうち8戸以外は全滅、145人が犠牲となりました。右の写真は大正時代に描かれた図です。左側が北になっています。道路を横切っている断層の部分の田んぼが指定を受けたことがわかります。現在この断層は特別天然記念物(国指定)となっています。

断層左 断層崖

左側は現在の断層の全景です。左奥から右手前へとつづいています。段丘の上から撮影しました。右の写真は崖の近くで撮影しました。けっこう落差がある(6m)のに驚きますね。

断層館 断層館

断層の道路から右側の部分に「断層観察館」があります。断層崖の部分を掘り下げてあり、断面が観察できます。

断面 説明板

断層観察館の内部では断層部分を掘り下げて観察できるようにしてあります。右側が左側に比べて6m高くなっているのがわかります。下側が基盤岩、上側の丸いレキがたくさん見える部分は段丘レキ層です。右の説明図ではレキ層が黄色になっています。下の部分は緑色は玄武岩類、ブルーは古生代から中生代の地層です。

道路のずれ 横ずれ

さて、断層観察館から北へ4kmほど行くと、中地区の横ずれ断層が国道157号の左側に見られます。村指定の天然記念物で、看板もあります。ここでは左横ずれのようすが道路やお茶の木の列のくいちがいによってよくわかります。ずれは7mにも達しています。結局、根尾谷断層は80kmにもわたってずれており、この根尾村で見られるのはほんの一部にすぎません。

番外

淡墨桜

断層観察館と中地区の間に桜の名所があります。「淡墨桜(うすずみざくら)」という桜の巨木がメインで、国指定の天然記念物です。高さ17m、枝張り24m、幹周りは9mもあるそうです。これほどの桜はおそらく世界に2つとはないでしょう。推定樹齢は1500年とか。枝が折れないようにつっかえ棒がしてありました。


金生山化石館


化石館 空中写真

大垣市赤坂に金生山という石灰岩の山があります。ここではセメント会社が大規模に石灰岩(赤坂石灰岩)の露天掘りをやっています。この石灰岩からは古生代の生物の化石が大量に見つかります。それらの化石を集めた化石館が山の中腹にあります。右の写真の白く見える部分は全部掘られた部分です。化石館の位置は赤く示されています。

フズリナ ベレムナイト

ここの石灰岩は古生代の二畳紀(ペルム紀ともいう=約2.5億年前)にできたものです。左の写真の石灰岩に見える白い斑点はひとつひとつがフズリナという原生動物で直径1cmたらずです。中央の500円玉と比べてください。右の写真の細長いものはベレムナイトという軟体動物で、イカやタコの祖先です。

想像図

古生代の石炭紀から二畳紀の海中の想像図です。サンゴ、海ユリ、三葉虫などがわかります。かつては、「日本にもサンゴの化石がでるのだから、当時は世界中が暖かかった」と思われていましたが、現在は、「プレートが北へ動いたので、熱帯にあったサンゴの島が日本の位置にやってきた」と考えられています。1年に数cmでも1億年たてば数千kmも動きます。つまり、金生山は熱帯のサンゴの島だったのです。

露頭

許可を得れば、石灰岩の採掘場で化石を採集することができます。正面の崖ではフズリナ、右手前の崖では海ユリが見つかるそうですが、右手前の崖は保存するので採集禁止だそうです。今回は雨が降っていたために採集はしませんでしたが、道ばたに落ちていた岩石にもフズリナがびっしりとはいっていました。本番が楽しみです。

露頭左 露頭右

またまた立体写真です。平行法で見てください。手前の草が邪魔ですが、崖の切り立ったようす、手前の地面が白、茶色、こげ茶色とだんだん低くなっているようす、そしてその向こうの崖との間が落ち込んでいるのがよくわかります。遠くの道が右の山のかげに消えているのもわかるでしょうか 。


以上で下見は終わりです。長々とおつきあいありがとうございました。なお、下見は春にもう一回予定しています。お楽しみに。
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1997.12.23 作成 / 1.1 更新