2003.9.29 作成 10.4 公開
11月24日、南極大陸で皆既日食があります。
NHKの南極プロジェクトでは、地上と飛行機からの2元中継を計画しています。
協力を要請されたので、5月16日に職場で取材を受け、その後9月22日に渋谷の放送センターで撮り方についてくわしく話してきました。
日食は、太陽が月によって隠される現象で、めったに起こらない珍しい現象です。
ただし、めったに起こらないというのは、同じ場所での話であって、地球のどこかで年に1〜2回は起きています。
要するに月の影が地球に落ちるわけで、その影の中に入った人だけが日食を見られます。
日食には皆既(かいき)日食、金環日食、部分日食の3種類があります。
皆既日食は月の方が太陽よりも大きく見えているとき、太陽が完全におおわれるときに見えます。
そのとき、昼間なのにあたりは夜のように暗くなり、星も見えます。
金環日食は太陽の方が月よりも大きく見えるために、月のまわりに太陽がはみ出して見えます。
部分日食は、太陽と月が完全には重ならないときに見えます。
太陽の表面を「光球」といいます。ここから熱や光が出ています。
光球面にはところどころ「黒点」が見られます。
光球面のすぐ外側には、太陽の大気層である「彩層」があります。
彩層は鮮やかなピンク色をしているので、この名がついたようです。
そこから上に、ところどころ炎のように見える「プロミネンス(紅炎)」が見られます。
さらに外側には真珠色に淡く輝く「コロナ」がひろがっています。
最初の欠け始めを「第1接触」といいます。
皆既になる瞬間が「第2接触」、皆既の終わりが「第3接触」です。
欠け終わる瞬間が「第4接触」です。
今回の日食は、図の赤いライン上で見られます。
NHKでは、図の×印にあるロシアのノボラザレフスカヤ基地で観測するそうです。
今回の日食は、南極大陸の夜中(白夜)に見られます。
ロシアの基地では地平線ギリギリで1分半程度、皆既になります。
そこでの皆既は、日本時間で24日8:17ごろです。
南半球なので太陽は右から左へと進みます。上図は10分ごとに描いてあります。
太陽の欠け方も北半球とは逆で、左から欠けていきます。
23:15 太陽が細くなってきました。
あたりは暗くなってきています。
あ! 金星(右)と水星(右から2番目)が見えてきました。
23:16 太陽がさらに細くなってきました。
左の方の空が暗くなってきています。
23:16:30 太陽が爪のように細くなっています。
23:16:46 太陽が短くなってきました。月の山でプツプツ切れています。
23:16:50 あ、ダイヤモンドリングです!
23:17:00 見事なコロナです。
23:17:35 あたりは真っ暗です。金星や水星、さそり座のアンタレスが見えます。
23:18:10 プロミネンスが見えます!
23:18:17 あ! 彩層が出てきました。
23:18:10 再びダイヤモンドリングです!
23:18:17 太陽が太くなっていきます。
23:18:30 あたりは明るさをとりもどしつつあります。シャドウバンドも見えています。
以上です。NHKの中継が成功することを祈りましょう。
シミュレーションの図の作成には、アストロアーツの「エクリプスナビゲータ」を使用しました。