1等星:なし
7月7日午後8時の南から見上げた頭上の空のようすです。
かんむり座は初夏の星座です。この時期の夜、頭の上に小さく見えています。
近くにうしかい座の1等星アルクトゥールスがあってよい目印になります。
明るい星がないので、都会では見るのが難しいです。
空の暗いところに行ったら、ぜひ探してみてください。
かんむり座は暗い星ばかりですが、きれいな半円形を描いていて美しいです。
アルファベットのCの字のようにも見えます。
かんむり座には、M天体はひとつもありません。
7つの星のうち、主星のα星は2.2等星です。
かんむり座Rという有名な変光星もあります。
α星
かんむり座のα星は2.2等星で、「ゲンマ」または「アルフェッカ」と呼ばれます。
「ゲンマ」は王冠の真珠という意味だそうです。
古代アラビアでは、かんむり座を欠けた皿のように見立てていたので、「アルフェッカ」は欠けた皿という意味だそうです。
たしかにきれいな楕円形にならんでいるのに上が閉じていないんですよね。
かんむり座の輪の中にある星で、変光星です。
通常は6等星ですが、数年に1度、すごく暗くなってしまいます。
いつ暗くなるのか予想もできないほどで、このタイプの変光星をかんむり座R型変光星といいます。
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クレタ島に住むミノス王は、あるとき、海の神ポセイドンとの約束を破ったため、怒りを買ってしまいました。なんと、お后が産んだ子供は、胴体が人間で、頭が牡牛の、怪物ミノタウロスだったのです。 「お〜、なんということだ!この怪物を、一度入ったらけっして出られない迷宮を造り、そこに閉じ込めよう」 しかし、この怪物は9年毎に、最も優れた少年7人、少女7人を生け贄として捧げなければならなかったのです。3度目の生け贄がクレタ島に行くときが来ました。 「私はテセウス。アテナイの王子だ。今回はどうか、私を生け贄に連れて行ってくれ!」 |
![]() | 船がクレタに着きました。生け贄の14人が、まずミノス王の前に連れて来られました。13人は、怖がって下を向いて震えています。しかしテセウスだけは、 「お前が、暴虐の王、ミノス王か。すでに28人の若者が怪物の餌にされた。私は怪物ミノタウロスを退治する。お前のことも許さない!」 「何を言うか、若造が!おい、こいつを早く牢へ入れてしまえ!」 これを見ていた、ミノス王の娘アリアドネは、 「まあ、テセウス様って、なんて頼もしくて素敵なお方。なんとか、お助けしたい」 そして、夜中・・ 「テセウス様!テセウス様!」「格子の外で呼ぶあなたは?」 「シッ!私は、ミノス王の、アリアドネです。父がこんなことをして、本当に申し訳ありません。ここに、糸をたくさん巻き付けた糸巻きと、剣があります。ミノタウロスのいる迷宮は、一度入ったら、誰も出て来られません。この糸を迷宮の入口に結びつけて迷宮に入れば、糸を辿って戻って来られます」 「ありがとう。でも、こんなことをしたら、王が怒ってあなたはこの国にいられなくなるのでは?」 「そんなことはどうでもいいのです。どうか、ご無事で」 |
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翌日、14人の少年少女は迷宮の中に連れて行かれました。 「ギャオウ!ガオ〜!うまそうだ!早く食いたいぞ〜!」 「キャー、たすけて〜!こわいー!」「怪物ミノタウロス!私が相手だ!」 「ギャ=!ガー!」「えい!やー!」 「ギャー!いて〜!死ぬ〜!」 ついにテセウスはミノタウロスを退治しました。 「さあ、この糸を辿って、早く館の外へ!」 「テセウスさま〜!よくぞご無事で!」 「あ、アリアドネ、さあ、あなたも一緒に逃げましょう!」 |
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クレタ島から逃れたテセウス一行は、その晩、近くの小島で泊まることにしました。眠っているテセウスの夢の中に・・ 「テセウスよ、私はアテナイの女神です。あなたが連れ出したアリアドネは、ミノス王の娘。怪物ミノタウロスの妹です。アリアドネはアテナイに災いをもたらします。アリアドネを置いて、すぐに出発しなさい」 テセウスは、心を鬼にして、アリアドネをそこに置いたまま出発しました。翌朝、 「あー、よく眠ったわ。テセウスさま・・あら?誰もいない・・どうしたの?みんな、どこへ行ってしまったの?私はどうしたらいいの?」 「どうしたんだ?何故泣いている?怖がらなくていい。私は酒の神、ディオニソスだ。何でも言ってごらん。私は、お前のためなら何でもしてあげるよ」 やがて、アリアドネは、酒の神ディオニソスの后になりました。ふたりは仲良く暮しましたが、アリアドネは人間です。やがて死が訪れました。 「アリアドネ、君のことは忘れないよ」 ディオニソスは、アリアドネの残した冠を、空に投げ上げました。そのとき、冠の7つの宝石が空に飛び散って、冠座になったということです。 |