アルデバラン食続報のページ


1998.10.13作成

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アルデバラン食が終わって

アルデバラン食
10月9日の夜に月におうし座の1等星アルデバランが食されました。
このホームページではそのようすを生中継したわけです。
その後、それをごらんになった職場の先輩である舟越先生から次のようなメールをいただきました。

私の研究分野である『日本書紀』には次のような記事があります。
   舒明天皇十二年春二月戊辰朔甲戌 星入月
      これは西暦640年で、
     戊辰朔甲戌は、1日が戊辰の2月の甲戌すなわち7日のことです。
また、皇極天皇元年秋七月甲寅朔壬戌、客星入月
     これは西暦642年の7月9日のことです。

2つめの「客星入月」については、「客星」が彗星か新星でしょうから確認することは困難です。
そこで1つめの「星入月」について考えてみました。

原文 訓み下し文
まず、日本書紀の問題の箇所の確認です。
日本書紀巻第二十三です。
岩波文庫の日本書紀(四)の483ページに原文が、訓み下し文は182ページにありました。
左写真の左側が原文、右側が訓み下し文です。
「星、月に入れり」とありますね。

さて、日付についてですが、日本書紀の日付は当然旧暦ですのでそのままでは、ちがってしまいます。
そこで、図書館へ行って「日本暦日原典」を見ました。
その78ページの表から、舒明天皇12年2月1日はユリウス暦640年の2月27日であることがわかります。
この年はうるう年ですから2月は29日まであります。
したがって、問題の旧暦2月7日は640年3月4日であることになります。

そこで、「ステラナビゲータ」を起動してこの日の星空を再現してみました。
するとどうでしょう!なんとアルデバランが月に接近しているではありませんか。
そうなのです。これが日本の歴史上最初に記された星食記事だったのです。しかも先日と同じアルデバランの食でした。
左は奈良における640年3月4日19時ごろの西の空です。
左上に月とアルデバランが、下の方に金星が見えます。


それにしても「ステラナビゲータ」はすごいですね。こんなに昔の現象もパソコン上で再現できてしまうのですから。
で、調子にのってGIFアニメーションを作成してみました。
下のが「日本書紀にのっている星食(アルデバラン食)」です。
月の暗い側の縁にかくれていくようすがわかります。


3分間隔で20:09から10コマで作ってみました。場所は奈良です。潜入は20:30ごろですね。



ひさびさに本を読んで興奮しました。
次回のアルデバラン食は今年の12月3日の夜です。お楽しみに。

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